その投稿、「いつまで」に動けばいいですか ― 名誉毀損・侮辱の被害に遭ったときの、3つの期限
その投稿、「いつまで」に動けばいいですか ― 名誉毀損・侮辱の被害に遭ったときの、3つの期限
作成日:令和8年(2026年)10月25日 分野:note/Blogger投稿記事(くるくんプロジェクト)
「ひどい投稿を見つけた。でも、いつまでに動けばいいのだろう」――そう思ったことはないでしょうか。
法律の期限は、1つではありません。刑事の告訴、刑事の公訴時効、民事の損害賠償。それぞれ、期間も、数え始める時も違います。
今回は、この3つの期限を整理しました。先にお断りします。この記事は、被害を受けた側が、期限を落とさないための記事です。個別の対応は、弁護士などの専門家に確認してください。
結論から言うと、先に来る期限は「6か月」です
名誉毀損罪と侮辱罪は、親告罪です。親告罪とは、被害者などの告訴がなければ、起訴できない罪をいいます(刑法232条1項)。
では、告訴は、いつまでにすればよいのでしょうか。結論から言うと、犯人を知った日から6か月です。これを過ぎると、告訴ができなくなります(刑事訴訟法235条1項本文)。
ここで、「犯人を知った」の意味が問題になります。判例六法1930頁は、次のように整理しています。犯人の住所や氏名まで知る必要はありません。ただし、少なくとも、誰なのかを特定できる程度の認識は要ります。
だから、まず見るのは、この6か月です。
3年の期限が、2つあります
刑事の公訴時効:3年
公訴時効とは、一定の期間を過ぎると、起訴できなくなる制度です。
名誉毀損罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です(刑法230条1項)。侮辱罪は、1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料です(刑法231条)。
長期5年未満の拘禁刑又は罰金に当たる罪は、公訴時効が3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。名誉毀損罪も、侮辱罪も、この区分に入ります。侮辱罪は、令和4年(2022年)7月7日施行の改正で、法定刑が引き上げられ、公訴時効も1年から3年に延びました。
数え始めるのは、犯罪行為が終わった時です(刑事訴訟法253条1項)。犯人を知った時ではありません。
民事の損害賠償:3年と20年
損害賠償請求権は、2つの期間のいずれかが過ぎると、時効で消えます(民法724条)。
・損害及び加害者を知った時から、3年
・不法行為の時から、20年
民法724条の2は、人の生命・身体を害する不法行為について、3年を5年に延ばしています。名誉毀損と侮辱は、これに当たりません。だから、3年です。
20年のほうは、平成29年(2017年)の民法改正で、消滅時効と整理されました。以前は、除斥期間と解されていました(判例六法577頁の記載)。
数え始める時が違います ― 匿名の投稿のとき
3つの期限を並べると、数え始める時が、それぞれ違います。
・刑事告訴の6か月:犯人を知った日から
・公訴時効の3年:犯罪行為が終わった時から
・民事の3年:損害及び加害者を知った時から
では、投稿者が匿名のときは、どうなるのでしょうか。実際にどう数えるか、見てみましょう。
民事の「加害者を知った時」について、判例六法576頁は、判例の考え方を整理しています。被害者が、加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下で、その可能な程度に知った時、というものです。
だから、投稿者が分からないうちは、民事の3年と刑事告訴の6か月は、まだ始まっていない、と解する余地があります。ここは、私の推論です。個別の事案で、どう扱われるかは分かりません。
一方、公訴時効は、犯人が分からなくても、進みます。だから、原則として、投稿から3年が、刑事の実質的な上限になります。
匿名の投稿者を特定するには、発信者情報の開示を求める手続が要ります。この手続には、数か月かかることがあるとされています。だから、見つけた時点で、早めに動くことが大切です。
期限を止める仕組みは、民事と刑事で別です
民事の時効には、時効の完成を先送りしたり、数え直したりする仕組みがあります。
・催告:その時から6か月を経過するまでの間、時効は完成しません(民法150条1項)。ただし、催告で猶予されている間の再度の催告は、効力がありません(同条2項)。1回限りです。
・裁判上の請求:手続が終わるまでの間、時効は完成しません(民法147条1項)。確定判決で権利が確定すると、時効は新たに進行を始めます(同条2項)。
・協議を行う旨の合意:書面でするときは、一定の期間、時効は完成しません(民法151条1項)。
刑事の公訴時効は、公訴の提起で、進行を停止します(刑事訴訟法254条1項)。
ここで、1つ注意があります。民法150条の催告は、民事の時効の規定です。刑事告訴の6か月を延ばすものではない、と解されます。ここも、私の推論です。
刑事の期限と民事の期限は、別々の制度です。一方が過ぎても、他方が自動的に終わるわけではない、と解されます。
今日からできる備え(筆者の推論です)
・見つけた日時、URL、画面を記録する。「いつ知ったか」は、数え始める時の手がかりになります。
・投稿者が誰か分かった日も、記録する。
・3つの期限(告訴6か月、公訴時効3年、民事3年)を、カレンダーに入れる。
・迷ったら、早めに弁護士へ相談する。期限は、数え始める時の判断で、結論が変わり得ます。
女性タレントが押さえておきたい3つの視点
・期限は3つある。先に来るのは、刑事告訴の6か月。
・数え始める時が、それぞれ違う。匿名の投稿のときは、特に注意する。
・時効を止める仕組みは、民事と刑事で別。民事の催告で、刑事告訴の期限は延びない。
見えにくい期限ほど、いざというときに困ります。知っておくだけで、慌てずに動けるはずです。
本記事は、民法、刑法、刑事訴訟法に関する一般的な整理であり、特定の人物・事例を想定したものではありません。「匿名の場合の数え方」「今日からできる備え」は、筆者の推論です。法律の専門的助言ではなく、実際の対応にあたっては、弁護士等の専門家への相談をお勧めします。
出典
民法144条から169条、724条、724条の2(e-Gov法令検索、令和8年〔2026年〕6月24日時点の表示)。刑法230条から232条(同、5月21日時点)。刑事訴訟法235条、250条、253条、254条(同、8月13日時点)。判例六法 令和8年版(有斐閣)576頁、577頁、1930頁、1934頁(判例の判決全文は未確認)。侮辱罪の法定刑の引上げと公訴時効の変更は、法務省「侮辱罪の法定刑の引上げについてQ&A」により確認済み。ウェブサイトのURLは、セキュリティ上の懸念があるため掲載しません。
SNS投稿用帰属文
🧡 Claudeとの対話をもとに作成。🧡 ClaudeはAIであり、間違えることがあります。回答内容は必ずご確認ください。
🧡Claude chat title:民法の時効制度について
(投稿令和8(2026)年10月26日).
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