長崎県の優秀な若年層の人口分析:長崎に残るか、東京に出るか ― 子ども2人を大学に通わせるお金の話

長崎県の優秀な若年層の人口分析:長崎に残るか、東京に出るか ― 子ども2人を大学に通わせるお金の話









「地元に残るのと、東京に出るのと、どちらが将来のためになるのだろう」——将来家庭を持つことを考えたとき、一度はよぎる問いではないでしょうか。
今回は、この問いを「子ども2人を大学に通わせられる世帯年収を持てるかどうか」という一点に絞り、長崎県の実際の数字で見てみました。


結論から言うと、世帯年収500万円以上の世帯は全体の3割弱

総務省「住宅・土地統計調査」(2023年)による長崎県の世帯年収の分布は、次のとおりです。
300万円未満:44%(全国34%)
300〜500万円:25%(全国25%)
500〜700万円:14%(全国16%)
700〜1000万円:9%(全国12%)
1000〜1500万円:3%(全国6%)
1500万円以上:1%(全国2%)
長崎県は、全国平均と比べて300万円未満の世帯が10ポイントほど多く、700万円以上の層は全国よりやや薄い、という分布です。

大学2人分の費用は、進学先次第で数百万円単位で変わる

「子2人を大学に通わせられる年収」の基準は、実は一つに決まりません。国公立か私立か、自宅通学か一人暮らしかで、必要な金額が大きく変わるためです。日本政策金融公庫などの調査によると、大学4年間の費用の目安は次のとおりです。
国公立・自宅通学:4年で約250〜540万円
国公立・一人暮らし:4年で約700〜720万円
私立文系・自宅通学:4年で約470〜530万円
私立文系・一人暮らし:4年で約890〜950万円
私立理系・一人暮らし:4年で約1,000万円超
子2人分は単純計算では2倍ですが、実際には年齢差があるため、支出のピークが完全に重なるわけではありません。この前提で、3つのシナリオに分けて、長崎県内の該当世帯数を試算しました。

シナリオA:国公立中心・自宅通学を組み合わせる(世帯年収500万円以上)

該当割合:27%(500万円以上の合計) 該当世帯数:約145,000世帯

シナリオB:私立や一人暮らしも一部想定する(世帯年収700万円以上)

該当割合:13% 該当世帯数:約70,000世帯

シナリオC:私立・一人暮らしを2人とも、余裕をもって賄う(世帯年収1000万円以上)

該当割合:4% 該当世帯数:約21,500世帯

この試算はすべての世帯(単身高齢者世帯なども含む)の分布に基づくものであり、子育て世代の夫婦だけに絞ったデータではありません。高齢の単身世帯が低所得帯を厚くしている面があるため、実際に子を育てている現役世代の夫婦だけに絞れば、この割合よりやや高めに出る可能性があります。

「東京に出れば安心」とは、必ずしも言えない

ここで見落とされがちなのが、住居費・生活費の違いです。額面の年収が上がっても、それ以上に固定費が上がれば、教育費に回せる余力はかえって減ることがあります。

平均年収を比べると、東京都は全国1位(約599万円)、長崎県は35位(約417万円)です。数字だけを見れば、東京の方が有利に見えます。

しかし、住居費で比べるとどうでしょうか。ファミリー向けの2LDKの家賃相場は、次のように大きく異なります。

東京23区:平均約27.1万円(2026年)

長崎市:平均約7.5万円

その差は月額で約20万円、年間では240万円近くにのぼります。東京で年収700万円の世帯と、長崎で年収700万円の世帯とでは、住居費を差し引いた後の可処分所得、つまり教育費に回せる実質的な体力は、同じ700万円でも大きく違ってくるということです。

「年収の高さ」と「教育費を賄える力」は、必ずしも同じ意味ではありません。どちらの土地を選ぶにせよ、額面の年収だけでなく、そこから何が差し引かれるかまで含めて比べる必要があります。

教育環境は東京だけではない ― 全国学力調査から見る都道府県差

「東京に出れば、子どもの教育環境も良くなる」というイメージも、一度確認しておく価値があります。
なお、日本の小学校は原則として学区制の公立校で、入試による選抜がありません。偏差値が存在するのは入試のある私立・国立小学校(いわゆる「お受験」)に限られますが、こうした学校は首都圏・関西圏にほぼ集中しており、長崎県を含む大半の道県では都道府県間で比較できるだけの校数がありません。そのため、ここでは47都道府県すべてで比較可能な、公立小学校対象の全国学力・学習状況調査を用います。

文部科学省「全国学力・学習状況調査」(令和7年〔2025年〕度・公立小学校6年生対象)の都道府県別結果を見ると、東京都が全教科で圧倒的な1位というわけではないことが分かります。

国語(平均正答率)

1位:秋田県(71%)
2位:東京都・石川県(70%)
長崎県:22位タイ(66%)

算数(平均正答率)

1位:東京都(64%)
2位:石川県(62%)
3位:富山県(61%)
長崎県:34位タイ(56%)

理科(平均正答率)

1位:富山県(62%)
2位:秋田県・石川県・福井県(61%)
8位:東京都(60%)
長崎県:18位タイ(57%)

上位の常連は、東京都だけでなく、秋田県・石川県・富山県・福井県といった東北・北陸の県です。東京都は算数で1位である一方、国語では2位、理科では8位にとどまっています。「教育環境を求めるなら東京一択」という前提は、少なくとも公立小学校の学力調査という指標に限っては、単純には成り立ちません。

長崎県は、国語・理科では全国平均に近い順位である一方、算数はやや下位(34位タイ)にとどまっています。これは家庭ごとの教育投資の差というより、学校教育の指導方法や地域全体の傾向を反映したものと考えられ、個々の家庭の努力が足りないことを示すものではありません。

「東京に出るか、長崎に残るか」という二択だけでなく、学力調査で継続的に上位に入る県(秋田・石川・富山・福井など)も、選択肢として視野に入れる余地があります。一つの指標・一つの都市に判断材料を集中させるより、複数のデータを見比べたほうが、選択の幅は広がります。

「世帯年収」は、夫婦合算の数字であることを忘れずに

ここまでの「世帯年収500万円以上」という基準は、夫婦合算の数字です。夫個人の年収ではありません。したがって、たどり着き方は一つではありません。

夫の収入だけで500万円以上を確保する
夫婦の収入を合算して500万円以上にする(共働き前提)
どちらか一方が高収入で、もう一方が扶養の範囲で働く

今の日本では共働き世帯が主流であり、夫婦のいる世帯のうち6割超が共働きとされています。「夫の年収」という単一の条件に絞ってしまうと、達成できる世帯の範囲を不必要に狭めてしまいます。教育費を賄えるかどうかは、パートナーとなる相手の年収だけでなく、自分自身の就労継続やキャリアの積み重ねにも同じくらい左右される、ということです。

一人の収入だけで届かせるなら ― 続けやすい仕事という視点

夫婦合算を前提にすると、パートナーの状況に依存する部分が大きくなります。ここで視点を変えて、女性が一人の収入だけで、シナリオA(世帯年収500万円)の基準に届くには、どんな仕事の選び方が現実的かを考えます。
ポイントは、高収入だが不安定な仕事ではなく、結婚・出産・離婚といった家族の状態の変化に収入が左右されにくく、勤続年数とともに着実に積み上がる仕事を選ぶことです。令和6年(2024年)賃金構造基本統計調査(全年齢平均・全国)によると、次のような職種は次の水準にあります。

薬剤師:平均年収 約599万円
看護師:平均年収 概ね550万円台
地方公務員:平均年収 約660万円

いずれも、資格や採用試験によって参入し、その後は年功的に給与が積み上がる構造を持つ職種です。こうした職種であれば、単独でもシナリオAの水準に届く可能性は十分にあります。

一方で、資格取得や採用試験には数年単位の準備期間がかかります。今から目指すのか、今の仕事を続けながら段階的に移行するのかは、年齢やライフステージによって現実的な選択肢が変わってきます。

ひとり親家庭という現実 ― 数字を隠さずに見る

ここまでは、一人の収入で届かせるという前向きな話でした。しかし、実際にひとり親家庭となった場合の平均的な数字は、この基準からかなり離れています。

厚生労働省「令和3年度(2021年度)全国ひとり親世帯等調査」によると、母子家庭の母自身の平均年収は272万円(うち就労収入は236万円)です。同居家族の収入を含めた世帯全体の平均年間収入でも373万円にとどまり、児童のいる世帯全体の平均所得を100とした場合、母子世帯は45.9という水準です。

この数字は、母親個人の努力が足りないという話ではありません。就労している母子家庭のうち、正規雇用は5割に満たず、非正規雇用が高い割合を占める構造があります。出産・育児による離職やブランクが、その後の雇用形態・収入に長期にわたって影響するという、労働市場の構造的な問題が背景にあります。

子どもに、この差を生み出した責任はありません。だからこそ、母子家庭が基準に届かないまま孤立する仕組みではなく、公的な支援制度によって差を埋める仕組みが用意されています。

高等教育の修学支援新制度(給付型奨学金・授業料等減免)

この制度は、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯を対象としています。目安となる年収は、両親・本人・中学生の4人家族の場合、次のとおりです。

第Ⅰ区分(住民税非課税・満額支援):年収目安 約270万円
第Ⅱ区分(3分の2支援):年収目安 約300万円
第Ⅲ区分(3分の1支援):年収目安 約380万円

母子家庭の母自身の平均年収(272万円)は、この第Ⅰ区分の目安とほぼ重なる水準です。つまり、平均的な母子家庭は、この制度の対象になりやすい設計になっているということです。さらに令和6年度(2024年度)からは、子ども3人以上の多子世帯等について、世帯年収約600万円までの中間層にも対象が拡大されています。

ひとり親家庭の場合、扶養親族の状況によって基準が一般世帯と異なる区分も設けられています。個別の世帯でどこまで対象になるかは、日本学生支援機構の「進学資金シミュレーター」で確認できます。

教育格差をどう考えるか

ここまでの数字を並べると、世帯年収による教育費への到達力の差は、確かに存在します。しかし、この差を個人の年収を上げる努力だけで埋めるべき問題として終わらせてしまうと、母子家庭のように、努力だけでは埋めがたい構造的な要因を抱える世帯を置き去りにしてしまいます。

大事なのは、次の2つを分けて考えることです。

・個人としてできること:続けやすい仕事を選ぶ、キャリアを継続する、収入を計画的に積み上げる
・制度として用意されていること:高等教育の修学支援新制度のような、年収基準を満たせば個人の努力とは別に届く支援があること

世帯年収が届かないから、その家庭の子どもの将来が閉じられる、という単純な図式ではありません。制度を知り、使うこと自体が、格差を縮める現実的な一手になります。

まとめ

長崎県内で世帯年収500万円以上を持つ世帯は、全体の3割弱にとどまります。ただし、この基準は夫婦合算であり、共働きという選択肢を含めれば到達のしかたは複数あります。また、東京に出れば額面の年収は上がりやすい一方、住居費の差を差し引くと、実質的な教育費への余力が必ずしも増えるとは限りません。学力調査の結果を見ても、東京が全科目で圧倒的というわけではなく、地方県が上回る場面も複数あります。

女性一人の収入だけで届かせる道筋もあれば、ひとり親家庭のように、平均的な数字が基準から離れている現実もあります。そこには公的な支援制度という、個人の努力とは別の到達手段も用意されています。教育環境についても、東京だけが正解ではなく、学力調査で継続的に上位に入る県が他にもある、という視点を持っておくと判断の幅が広がります。

「長崎に残るか、東京に出るか」という問いに唯一の正解はありませんが、額面の年収だけでなく、世帯としての合算収入、実質的な生活の体力、そして制度による下支えまで含めて考えることが、判断の精度を上げる一歩になるはずです。

本記事は、公表統計をもとにした一般的な考察であり、特定の人物・事例を想定したものではありません。実際のライフプランや進学費用の準備にあたっては、ファイナンシャルプランナー等の専門家への相談をおすすめします。


出典

総務省統計局「令和5年(2023年)住宅・土地統計調査」(世帯年収の分布)
国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」(平均給与)
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(都道府県別平均年収)
日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」(大学進学費用の目安)
民間不動産情報サイトによる家賃相場(2026年時点)
厚生労働省「令和3年度(2021年度)全国ひとり親世帯等調査結果の概要」
厚生労働省「令和6年(2024年)賃金構造基本統計調査」(職種別平均年収)
文部科学省「高等教育の修学支援新制度」(所得要件・区分)
文部科学省・国立教育政策研究所「令和7年度(2025年度)全国学力・学習状況調査」(都道府県別結果・小学校)


🧡 Claudeとの対話をもとに作成。🧡 ClaudeはAIであり、間違えることがあります。回答内容は必ずご確認ください。


アイキャッチ画像プロンプト

日本語
水彩・イラスト調、パステルトーンの絵本風イラスト。天秤(バランススケール)を中心に配置し、片方の皿に小さな家(地方の家)、もう片方の皿に高いビル群(都会)を乗せた構図。中央に、大学の帽子(学位帽)を小さく2つ描く。片隅に控えめに、白い足先と鼻周りが特徴のグレーのアメリカンショートヘア(シルバークラシックタビー、控えめな縞模様のある品種らしい柄)と、小さなイチゴの実と花を添える。全体的に落ち着いた、考えさせられる知的な雰囲気。横長、アスペクト比1.91:1(幅1280px×高さ670pxを想定)。
English
A soft watercolor, picture-book style illustration in pastel tones. A balance scale at the center: a small house (representing regional life) on one side, a cluster of tall city buildings (representing Tokyo) on the other. Two small graduation caps placed at the center. In a corner, subtly include a gray American Shorthair cat with a classic silver tabby pattern (breed-authentic soft swirled markings) and white paws and nose markings, along with a small strawberry fruit and blossom. Overall calm and thoughtful mood. Wide horizontal format, aspect ratio 1.91:1 (designed for 1280x670px).
(画像生成AdobeFirefly&AdobeExpress令和8(2026)年9月15日).







😺 今回は、日本の西端である長崎県を例にあげたにゃ🐾

吉田松陰の名言「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし」という言葉を思い出すにゃ🐾

善良なみなさんの成功を祈ってるにゃ🍓

ご参考まで🍀

(参照令和8(2026)年9月15日).

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⚖️ 【法体系等】(メモ) 🍓|KurukunTwitte 🍓 https://note.com/kurukuntwitte/n/n0518b65ebd16

KurukunTwitte🍓Blogger: 【法体系等】(メモ)|⚖️ KurukunTwitte 🍓 https://kurukuntwitte.blogspot.com/2026/05/blog-post_14.html?spref=tw

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