契約書の前で立ち止まるために ― 民法90条(公序良俗)を、2本の記事で読む
契約書の前で立ち止まるために ― 民法90条(公序良俗)を、2本の記事で読む
作成日:令和8年(2026年)10月10日 分野:note/Blogger投稿記事(くるくんプロジェクト)
この2本の読み方
このページには、役割の違う記事が2本あります。
・入口の記事:やさしい言葉で、「自分の契約の話」として読める形にした記事です(GoogleのAI(Gemini)が執筆)
・根拠の記事:条文と判例の根拠を示し、判例の結論と筆者の推論を分けた記事です(AnthropicのAI(Claude)が執筆)
まず入口の記事を読んでください。内容を確かめたくなったら、根拠の記事に進んでください。
どちらの記事も、裁判所ウェブサイトの判決全文で確認した判例だけを使っています。入口の記事は6件、根拠の記事は9件を扱っています。
「筆者の推論です」と書かれた部分は、判例の結論ではありません。個別の条項が有効かどうかは、弁護士等の専門家への確認が必要です。
【入口の記事】
【デビュー前に絶対読んで!】契約書の前で立ち止まるためのルール(民法90条)
オーディションに合格したり、スカウトされて「夢への第一歩!」とワクワクしているあなたへ。
事務所の人から分厚い契約書を渡されて、「むずかしい言葉ばかりで読めない…」「『みんなサインしてるから早く書いて』と言われて焦っている」なんてこと、ありませんか?
「一度サインしたら、どのような条件であっても絶対に守らなきゃいけないの?」
答えは「いつもそうとは限りません」。
実は法律には、「社会の常識や道徳観念から外れた、著しく不当な約束は無効(最初から効力がないこと)になり得る」というルール(民法90条「公序良俗」)があります。
契約書の疑問のあるルールをそのままにしておくと、あなたの人生にどのような危険があるのか、そして正しい知識を持つことでどのようなメリットがあるのかを、実際の裁判のお話を交えて紹介しますね。
1. 違法な仕事を「知ってて」させられたら?
「業界のルールだから」「うちの事務所では当たり前だから」と言われて、あやしい仕事や商品を宣伝させられそうになったらどうでしょう?
【たとえると】体に危険なサプリを「あやしいと知りながら」PR・販売させられたら
もし事務所から「これくらい平気だよ」と言われても、自分も事務所も違法だと知っていてファンや一般の人を巻き込むような仕事の約束は、後から無効と判定される可能性があります(筆者の推論です)。同じ考え方がそのまま当てはまるかは分かりません。
【実際の事件】有毒なお菓子や商標をまねた衣料品を継続して販売したケース
裁判所は、体に害がある危険な成分が入ったお菓子を売った事件で、食品衛生法に違反しているからといって、それだけで直ちに売買が無効になるわけではないと判断しました(最判昭和39年〔1964年〕1月23日)。
事故や問題を防ぐための法律があっても、それだけで直ちにすべての契約が無効になるわけではありません。しかし、もし会社や売主がこんな事情をそろえて持っていたら話は別です。
・有害であり、販売が禁止されていると知っていた
・知っていながら、あえて製造を続けた
・相手からの要請に応じて売り渡し、ずっとその取引を続けて世の中に広めた
この場合、取引は無効と判定されました。
著名ブランドの商標をまねた衣料品だと互いに知りながら大量に売り買いし続けた事件でも、お互いに違法だと分かっていて取引を継続した事情などが重なり、同じように契約が無効になっています(最判平成13年〔2001年〕6月11日)。
⚠️ そのままサインする危険とデメリット(筆者の推論です)
「怪しいサプリのPR」や「違法な販売イベント」だと知りながら引き受けてしまうと、警察の捜査対象になったり、ファンや世間からの信頼を失って、タレントとしての将来が途絶えてしまう危険が考えられます。同じ考え方がそのまま当てはまるかは分かりません。
🌟 知っておくメリット(筆者の推論です)
自分も事務所も違法だと知っていてファンを巻き込むような仕事の約束は、後から無効と判定される可能性があります。「違法な仕事に巻き込まれそうになったら拒否して自分を守れる」という安心感が得られる可能性があります。同じ考え方がそのまま当てはまるかは分かりません。
2. 「辞めるなら1000万払え」「学業やSNSも禁止」は有効?
タレント活動で心配なのが、「自分の自由や青春の時間、そして進学の機会を縛られること」ですよね。
【実際の事件】酌婦として働かせる約定とセットになった借金
お金を借りる際、借主の娘(当時16歳に達しない少女)が貸主のもとで酌婦として働き、その報酬の半額を借金の返済に充てるという約定がされた事件がありました(最判昭和30年〔1955年〕10月7日)。
裁判所は次のように判断しました。
・稼働契約は公序良俗に反して無効とされた
・金銭の受領と稼働は密接に関連して不可分の関係にあるため、稼働約定の無効は消費貸借(お金の貸し借り)および連帯保証を含めた契約全体の無効をもたらす
・貸主側は、民法708条本文(不法原因給付)により、交付した金員の返還を求めることができない
⚠️ そのままサインする危険とデメリット(筆者の推論です)
「辞めたら数年間は芸能活動も個人SNSも禁止」「学業より仕事を優先し、進学は禁止」「レッスン代や衣装代として数百万円払わないと辞めさせない」といった条件を真に受けると、事務所を辞めたくても辞められず、高校生活や進学の機会、10代のキャリアが損なわれてしまう危険が考えられます。同じ考え方がそのまま当てはまるかは分かりません。
🌟 知っておくメリット(筆者の推論です)
進路や生活、人生の選択肢を大きく制限する約束は、契約全体が無効になり得るという考え方を知っておくことで、不当な要求に脅えずに済み、学業と活動を両立させる自由な未来を取り戻すきっかけになる可能性があります。同じ考え方がそのまま当てはまるかは分かりません。
3. 「女の子だから」という理由だけの差別は許される?
「女性タレントだから」「若い女の子だから」という理由だけで、理不尽なルールを押し付けられるのはおかしいですよね。
【実際の事件】女子だけ若い年齢でやめさせられる会社のルール
会社が「男性は60歳まで働けるのに、女性は55歳で定年(退職)」と定めていた事件で、最高裁判所は、性別のみによる不合理な差別であり、民法90条により無効であると判定しました(最判昭和56年〔1981年〕3月24日 / 日産自動車事件)。
判決文は括弧書きで「憲法14条1項、民法1条ノ2参照」と記すにとどまり、判決の根拠は民法90条です。
⚠️ そのままサインする危険とデメリット(筆者の推論です)
「女性アイドルは〇歳で強制卒業」といった例にそのまま同じ考え方が当てはまるかは分かりませんが、性別のみを理由にした合理性のないルールを受け入れてしまうと、努力しても正当な評価や対価を得られず傷つく恐れがあります。
🌟 知っておくメリット(筆者の推論です)
性別のみを理由とする合理性のない差別的ルールは無効になり得ると知っておくことで、自分を安売りせず、対等で尊重される環境で活動するための心の支えになる可能性があります。
4. 契約のルールは「いつの常識」で決まるの?
「契約したときは普通だったけど、あとから社会で大問題になった」という場合はどうなるのでしょう?
【実際の事件】あとから社会問題になって禁止された約束
証券会社が「損が出たら補てんします」と約束していた事件で、最高裁判所は次のように判示しました(最判平成15年〔2003年〕4月18日)。
・法律行為が公序に反して無効かどうかは、「法律行為がされた時点の公序」に照らして判断すべきである
・契約を結んだ昭和60年(1985年)6月の時点では、反社会性の強い行為だという社会的認識が存在したとみるのは困難であり、契約そのものは公序に反し無効とはいえない
(※ただし、その後に法律が変わって利益提供行為自体が禁止されたため、実際の履行請求は認められませんでした)
💡 サインする前のチェックポイント(筆者の推論です)
判例によれば、契約が無効かどうかはサインした時点の社会の認識が基準になり得ます。だからこそ、後から後悔しないために、まさにサインするその前の時点で条件をよく確かめる価値があると考えられます。
5. もし契約が無効になったら、払ったお金は返ってくる?
「不当な契約だったと分かった!じゃあ、今までに払わされたレッスン代や違約金はすぐ返してもらえる?」と思いますよね。
公序良俗に反して無効な契約であっても、渡したお金は民法708条本文(不法原因給付)により、原則として返還を請求できません。ただし、不法な原因が給付を受けた側(受益者)にだけあった場合は、返還を請求できます(民法708条ただし書)。
さらに、信義則(民法1条2項)による例外が認められた例があります。
破産した無限連鎖講(ねずみ講)の運営会社の破産管財人が、配当金を受け取った元会員に対し、出資金を超える部分の返還を求めた事件で、最高裁判所は、損失を受けた会員を含む債権者への公平な清算を図るため、元会員が不法原因給付を理由に返還を拒むことは信義則上許されないと判断しました(最判平成26年〔2014年〕10月28日)。
この判決は、被害者が支払ったお金を取り戻せることを述べたものではありません。無効であっても渡したお金が返ってくるとは限らないが、信義則による例外が認められる場合があることを示す例といえます。
6. 大学進学と学びが「息の長いタレント活動」と「豊かな人生」を開くかもしれない(筆者の推論です)
契約書で「進学禁止」や「学業制限」などの厳しい条件を避け、大学へ進学して学ぶことには、芸能活動にとどまらないメリットがあると考えられます。
※以下の分析と展望は、タレントのキャリア形成を踏まえた「筆者の推論」です。
① 人間としての深みが増し、息の長い活動につながる
大学で教養や専門知識(法律、経済、語学、表現など)を学ぶと、コメンテーターや知性派タレント、プロデュース業など、活動の幅が広がる可能性があります。若さや露出だけに頼らない実力を養う機会になると考える余地があります。
② 芸能界「外」の親友ができる機会になる
芸能界の利害関係とは離れた友人が大学でできる可能性があります。仕事で悩んだときにありのままの自分に戻れる居場所や、長きにわたって互いに支え合える友情を得られると考えられます。
③ 将来のビジネスパートナーや配偶者候補との出会いの機会が広がる
大学には、将来さまざまな分野で活躍する同世代が集まります。将来一緒にプロジェクトを立ち上げるビジネスパートナーや、お互いの人生を尊重し合える配偶者候補など、そうした出会いの機会が広がる可能性があると考えられます。
学業を諦めずに大学生活で知識や人間関係を広げることは、タレントとしての活動を長く支え、人生全体を豊かにする選択肢の一つになると考える余地があります。
7. 契約書を渡されたら!デビュー前・若手のタレントがやるべき3つのアクション(筆者の推論です)
契約の経験が少ないほど、条件の意味や相場が分かりにくくなります。内容を確かめる時間と、相談できる相手が大切になると考えられます(筆者の推論です)。
※以下の行動提案は、判例の考え方を芸能の場面に当てはめた「筆者の推論」です。
・「持ち帰って保護者や信頼できる大人に見せます」と言って、その場ではサインしない
「今すぐ書かないと別の子にするよ」と焦らされても書かない選択があります。契約書を持ち帰って確認することは、ごく自然な行動です。
・「これ自分に不利かな?進学もできないのかな?」と思ったところに線を引く
「期間が長すぎる」「違約金が高すぎる」「学業や進学が制限されすぎている」と感じる部分を見つけましょう。
・弁護士等の専門家に相談する
その条件が法律的に無効になり得るかどうかは、個別の事情(活動内容や給料のバランスなど)によって変わります。一人で悩まず、専門家にチェックしてもらいましょう。
まとめ
・「法律違反=すぐ無効」とは限らない(違法性の認識や継続性などが重なると無効になり得る。昭和39年〔1964年〕1月23日判決、平成13年〔2001年〕6月11日判決)
・稼働契約と、これに不可分な消費貸借は全部が無効とされた(昭和30年〔1955年〕10月7日判決)。自由や学業の機会を制限する条件の効力は、個別に判断される(筆者の推論)
・性別のみによる不合理な差別は無効になり得る(昭和56年〔1981年〕3月24日判決)
・「契約をした時点の公序」で判断される(平成15年〔2003年〕4月18日判決)
・無効であってもお金が返ってくるとは限らないが、信義則による例外もある(昭和30年〔1955年〕10月7日判決、平成26年〔2014年〕10月28日判決)
・個別の条項の有効性は、弁護士等の専門家への確認が必要である
・大学進学や学びを諦めないことが、息の長い活動や豊かな人生につながると考える余地がある
・違和感があったら、サインする前に必ず信頼できる大人や専門家に相談する
大切な夢を守るために、契約書は「書く前」に確かめましょう。
使った判例の一覧
本文で扱った判例は、次の6件です。
・最判昭和30年(1955年)10月7日(民集9巻11号1616頁)
(自由を制限する稼働約定と消費貸借の全体無効・不法原因給付)
・最判昭和39年(1964年)1月23日(民集18巻1号37頁)
(取締規定違反と公序良俗違反の要件)
・最判昭和56年(1981年)3月24日(民集35巻2号300頁)
(男女別の定年制と性差別・民法90条)
・最判平成13年(2001年)6月11日(平成12年(受)第67号)
(不正競争防止法違反の継続取引と著しい反社会性)
・最判平成15年(2003年)4月18日(民集57巻4号366頁)
(公序の判断の基準時=行為時点)
・最判平成26年(2014年)10月28日(民集68巻8号1325頁)
(無限連鎖講の配当金返還請求と不法原因給付に対する信義則の適用)
※本記事は、民法90条および関連判例に関する一般的な解説であり、特定の契約や個別の条項の有効性を断定・保証するものではありません。法律上の専門的助言ではありませんので、個別の条項の有効性や具体的な対処法については、必ず弁護士等の専門家に確認してください。
🧡 入口の記事は、AnthropicのAI(Claude)が作成した根拠記事をもとに、GoogleのAI(Gemini)が執筆し、Claudeが根拠記事との整合を確認しました。🧡 AIは間違えることがあります。回答内容は必ずご確認ください。
【根拠の記事】
「サインしたから有効」とは限らない ― 契約書の条項を、民法90条(公序良俗)で読む
作成日:令和8年(2026年)10月9日 分野:note/Blogger投稿記事(くるくんプロジェクト)
契約書を前にして、「この条件、本当に有効なのだろうか」と感じたことはないでしょうか。
今回は、民法90条(公序良俗)を取り上げます。裁判所が実際にどう判断したのかを、最高裁判決9件で確認します。そのうえで、芸能の契約書を読むときの視点を整理します。
先にお伝えします。最後の「契約書を読むときの視点」は、私の推論です。個別の条項が有効かどうかは、専門家への確認が必要です。
民法90条は、何をする条文か
条文は短いものです。「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」。
ここで押さえたい点が1つあります。この条文が否定するのは、行為そのものではありません。法律行為(契約など)の効力です。処罰する条文でも、禁止する条文でもありません。
では、何が「公序良俗に反する」のでしょうか。条文は答えを書いていません。だから、裁判所が事件ごとに判断します。判例を類型ごとに見ていくと、境界線が見えてきます。
法律に違反すれば、必ず無効か
まず、取締規定(行政上の規制を定めた法律)に違反した取引です。
結論から言うと、違反しただけでは無効になりません。
最判昭和39年(1964年)1月23日(民集18巻1号37頁)は、有害な硼砂(ほうしゃ)が混ざったアラレ菓子の売買を扱いました。最高裁は、食品衛生法に違反して処罰されるとしても、それだけで売買が民法90条により無効になるわけではない、としました。
ただし、例外があります。売主が、次の事情をそろって備えていた場合です。
・有害であり、販売が禁止されていると知っていた
・知りながら、あえて製造した
・買主の要請に応じて売り渡し、取引を継続した
この場合は、一般大衆の購買ルートに乗せたものと認められます。公衆衛生を害することは見やすい道理だとして、取引は無効とされました。
同じ構造の判例が、もう1つあります。最判平成13年(2001年)6月11日です。著名ブランドの商標をまねた衣料品を、卸売業者と小売業者が、互いに違法と知りながら大量に取引した事案でした。商標権者から警告を受けた後も、強制捜査を受けるまで取引を続けていました。
最高裁は、単に法律に違反するだけでなく、「経済取引における商品の信用の保持と公正な経済秩序の確保を害する著しく反社会性の強い行為」だとしました。そして売買契約を無効とし、売主の残代金の請求を認めませんでした。
だから、取締規定違反の取引が無効になるかは、次の点で決まります。
・違法性を互いに認識していたか
・取引が継続的・大量に行われたか
・一般の購買ルートに乗せたか
こうした事情の重なりが、判断の分かれ目になります。この整理は、判決文の構造に基づくものです。
不倫や賭博は、一律に無効か
次に、人倫に反する行為と、賭博に関わる契約です。
不倫関係にある相手への遺贈
最判昭和61年(1986年)11月20日(民集40巻7号1167頁)を見てみましょう。
亡くなった男性には妻がいました。それでも、約7年間、別の女性と半同棲のような不倫関係を続けていました。男性は、妻・子・その女性に、遺産の3分の1ずつを遺贈する遺言を残しました。
最高裁は、遺言を無効としませんでした。理由は2点です。
・遺言の目的は、不倫関係の維持ではなく、生計を男性に頼っていた女性の生活の保全だった
・遺言の内容は、相続人らの生活の基盤を脅かすものではなかった
ここで注意があります。判決文は、これを一般的な規範としては述べていません。この事実関係のもとでの判断です。
だから、不倫関係の相手への遺贈が、常に有効だとは言えません。常に無効だとも言えません。個別の事情が総合的に見られると解する余地があります。
賭博の資金と知って貸した場合
賭博の用に供されると知りながら金銭を貸す契約はどうでしょうか。
最判昭和47年(1972年)4月25日(集民105号855頁)は、公序良俗に反し無効であることが明らかだとしました。貸主は、返還を請求できません。
その後の最判昭和61年(1986年)9月4日(集民148号417頁)も、この判断を引用しています。賭場を開く資金と知って貸した事案でも、契約は無効とされました。
自由を極度に縛る契約は、どうなるか
最判昭和30年(1955年)10月7日(民集9巻11号1616頁)は、次の事案でした。
借主が4万円を借り、別の者が連帯保証をしました。返済は、借主の娘(当時16歳に達しない少女)が貸主方で酌婦として働き、その報酬の半額を充てる約定でした。
原審は、稼働の契約は無効でも、お金の貸し借りは有効として、貸金の返還を命じました。最高裁は、これを認めませんでした。
最高裁の理由は、こうです。借りたお金は、娘に酌婦として働かせる対価でした。金銭の受領と稼働は、「密接に関連して互に不可分の関係」にあります。だから、稼働契約の無効は、契約全部の無効をもたらします。消費貸借も連帯保証も、無効になりました。
さらに、貸主は、民法708条本文(不法原因給付)により、渡したお金の返還を求められません。
ここは、実務上とても重要です。無効な部分と、有効に見える部分を、切り分けられるとは限りません。両者が不可分であれば、契約全体が無効になります。
性別だけを理由とする差別は、どうなるか
最判昭和56年(1981年)3月24日(民集35巻2号300頁、日産自動車事件)は、男女別の定年を定めた就業規則の事案でした。男子は60歳、女子は55歳でした。
最高裁は、女子の定年を男子より低く定めた部分は、性別のみによる不合理な差別だとしました。そして、民法90条により無効としました。
判決が根拠として挙げた条文は、民法90条です。憲法14条1項は、括弧書きの参照にとどまります。憲法の平等原則が民法90条を通じて私人間に及ぶ、という説明は、学説の整理です。判決文の言葉ではありません。
「公序」は、いつの時点で判断するか
時代が変われば、社会の常識も変わります。では、契約の効力は、どの時点の公序で判断するのでしょうか。
最判平成15年(2003年)4月18日(民集57巻4号366頁)は、こう述べました。法律行為が公序に反して無効かどうかは、「法律行為がされた時点の公序に照らして判断すべきである」。
事案は、証券会社の損失保証契約でした。契約は昭和60年(1985年)に結ばれました。損失補てんが大きな社会問題になったのは、平成元年(1989年)の終わりごろです。最高裁は、契約時点では、強い反社会性の認識が社会に存在したとはいえないとして、契約を無効としませんでした。
だから、後から社会の見方が厳しくなっても、過去の契約が、それだけで無効になるわけではありません。逆に、契約時点で公序に反していた契約が、後で有効になることもありません。
無効になっても、お金は返ってくるとは限らない
最後に、無効の効果です。
契約が無効なら、渡したお金は返ってくるはずです。ところが、民法708条本文は、不法な原因のために給付をした者は、返還を請求できないと定めています。昭和30年判決も、この条文により、貸主の返還請求を認めませんでした。
では、返還請求は、常にできないのでしょうか。
最判平成26年(2014年)10月28日(民集68巻8号1325頁)が、限界を示しました。事案は、無限連鎖講(いわゆるねずみ講)でした。破産した運営会社の破産管財人が、会員だった人に、出資金を超えて受け取った配当金の返還を求めました。
原審は、民法708条により返還を請求できないとしました。最高裁は、これを退けました。
・破産管財人が、損失を受けた会員を含む債権者に配当して、公平に清算しようとすることは、衡平にかなう
・返還を拒めるとすると、他の会員の損失のもとで、不当な利益を持ち続けることを認めることになる
・したがって、不法原因給付を理由に返還を拒むことは、信義則上許されない
つまり、民法708条本文は絶対ではありません。信義則(民法1条2項)による例外があり得ます。
芸能の契約書を読むときの視点(筆者の推論です)
ここからは、判例そのものではありません。9件の判決を、芸能の契約書に当てはめた、私の推論です。断定はできません。
民法90条が働くのは、契約などの法律行為についてです。週刊誌の記事への対応は、別の枠組みです。民法90条が関わり得るのは、事務所などとの契約書の場面になります。
読むときの視点として、次の点が考えられます。
・判例は、結論だけでなく、理由の組み立てを示しています。条項を読むときも、「何がそろっているか」を見る視点が役に立ちます
・契約の期間、制限の範囲、対価、制限の必要性などを、総合して見る余地があります
・問題のある条項が、契約の他の部分と不可分であれば、契約全体に影響する可能性があります(昭和30年判決の考え方)
・契約した時点の事情が、判断に関わる可能性があります(平成15年判決の考え方)
・無効を主張できても、渡した金銭が返ってくるとは限りません(民法708条本文)
・契約の当事者が労働者に当たる場合は、民法90条とは別に、労働関係の法律が関わる可能性があります
ただし、これらが、個別の条項に当てはまるかは分かりません。裁判例を確認していない点も多くあります。
だから、契約書の条項に違和感を覚えたら、次の行動をお勧めします。
・その場でサインしない。持ち帰って読む
・違和感のある条項に、印を付ける
・弁護士などの専門家に、個別の条項を見てもらう
まとめ
・民法90条が否定するのは、行為ではなく、法律行為の効力である
・法律違反だけでは無効にならない。違法性の認識、取引の継続、大量流通などが重なると、無効になり得る(昭和39年判決、平成13年判決)
・不倫関係への遺贈も、一律に無効ではない。個別の事情が見られる(昭和61年11月20日判決)
・賭博の資金と知って貸した契約は、無効である(昭和47年判決、昭和61年9月4日判決)
・自由を極度に縛る契約は、不可分な部分を含め、全部が無効になり得る(昭和30年判決)
・性別のみによる不合理な差別は、民法90条により無効になり得る(昭和56年判決)
・判断の基準は、契約をした時点の公序である(平成15年判決)
・無効でも返還請求できない場合がある。ただし、信義則による例外もある(平成26年判決)
契約書は、サインした瞬間から、あなたを縛ります。だからこそ、サインの前に読む価値があります。
本記事は、民法90条と関連判例に関する一般的な整理であり、特定の人物・事例を想定したものではありません。「契約書を読むときの視点」は、筆者の推論です。法律の専門的助言ではなく、個別の条項の有効性は、弁護士等の専門家への確認が必要です。
出典
最判昭和30年(1955年)10月7日・民集9巻11号1616頁。最判昭和39年(1964年)1月23日・民集18巻1号37頁。最判昭和47年(1972年)4月25日・集民105号855頁。最判昭和56年(1981年)3月24日・民集35巻2号300頁。最判昭和61年(1986年)9月4日・集民148号417頁。最判昭和61年(1986年)11月20日・民集40巻7号1167頁。最判平成13年(2001年)6月11日(平成12年(受)第67号)。最判平成15年(2003年)4月18日・民集57巻4号366頁。最判平成26年(2014年)10月28日・民集68巻8号1325頁。
いずれも、裁判所ウェブサイトの判決全文で確認済みです。類型の整理は、学習上のもので、法律上の区分ではありません。
🧡 AnthropicのAI(Claude)との対話をもとに作成。🧡 AIは間違えることがあります。回答内容は必ずご確認ください。
🧡Claude chat title:民法90条と女性タレントの契約
(参照投稿令和8(2026)年10月11日).
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"PIECE OF MY WISH" を YouTube で見る https://youtu.be/Y4OZftNHb_s?si=PG0hBPeI7Ek5iyii |KurukunTwitte 🍓 https://note.com/kurukuntwitte/n/n6453d97fd7f9
KurukunTwitte🍓Blogger: "PIECE OF MY WISH" を YouTube で見る https://youtu.be/... https://kurukuntwitte.blogspot.com/2026/10/piece-of-my-wish-youtube.html?spref=tw
女性頑張れ 高市早苗 永野芽郁
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【法解説】女性タレントを脅かす悪質スキャンダル被害——低い賠償額の壁と裁判所で戦い抜く「鋼鉄の論理」|KurukunTwitte 🍓 https://note.com/kurukuntwitte/n/nbe0b45c307be
https://kurukuntwitte.blogspot.com/2026/10/blog-post.html?spref=tw
#女性頑張れ #高市早苗 #永野芽郁
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😺メディアに関する投稿をまとめてるにゃ🐾
メディア関連法|KurukunTwitte 🍓 https://note.com/kurukuntwitte/n/n0a01c6f4fa0b
KurukunTwitte🍓Blogger: メディア関連法 https://kurukuntwitte.blogspot.com/2026/09/blog-post_25.html?spref=tw
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😺目次代わりにゃ🐾
⚖️ 【法体系等】(メモ) 🍓|KurukunTwitte 🍓 https://note.com/kurukuntwitte/n/n0518b65ebd16
KurukunTwitte🍓Blogger: 【法体系等】(メモ)|⚖️ KurukunTwitte 🍓 https://kurukuntwitte.blogspot.com/2026/05/blog-post_14.html?spref=tw
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